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PC0033 JOHN LENNON IMAGINE
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 ジョン・レノン

 1940年10月9日イギリスのリバプールに生まれる。父親の失踪から家庭が崩壊し、伯母ミミに育てられる。ビートルズを結成後、62年に「ラヴ・ミー・ドゥ」でデビュー。ポール・マッカートニーとともにビートルズの中心メンバーとして世界的な大成功を収めたが、メンバーの不仲から70年に解散。同年「ジョンの魂」、71年「イマジン」を発表。その傍ら、69年に結婚したオノ・ヨーコとともに社会的な活動を行い、話題となる。その後、原点に戻った作品「ロックン・ロール」や「心の壁、愛の橋」等を発表するも、ヨーコの妊娠、出産をきっかけに主夫の生活を送る。80年の「ダブル・ファンタジー」で5年ぶりに復帰をするも、その直後の1980年12月8日、ニューヨークのダコタハウス前で熱狂的なファンの凶弾に倒れた。死後も数々のアルバムがリリースされ、いまなおその人気は衰えていない。

 ジョンとタバコ

  つっぱった男の子にタバコはよく似合う。あどけない顔をして、生意気に煙をふかす姿はきっといつの時代の、どこの国のどんな場所でも少しも変わることなく目にすることができる光景のように思う。  これから始めるのはジョンとタバコのお話。では少しの間、時間を彼が港町でギターを掻き鳴らし、仲間と一緒にロックンロールを始めた頃まで戻してみよう。ねぇジョン、タバコはその頃からすでにジョンの近くにあったんだよね。だってジョンは小さい頃、「君はどんなことをしたんだい?」っていう質問に、「本を読んだり、タバコを盗んだり」したって答えたこともあるんだもんね。

 ビートルズがデビューする前、ドイツ・ハンブルグでステージに立っていたというのは多くの人に知られている話だ。リーゼントと皮ジャン姿でロックンロールする無邪気な少年たちは当時、仕事場であるステージ上でもやりたい放題、とにかくお構いなしに振舞っていた。悪態をつきながら、狂ったように演奏をするのはかっこいいので大いに結構だとしても、客を目の前にビールを飲み、むしゃむしゃと食べ物を口に運ぶ。有り余るパワーから彼らは自分たちの思うがまま、なすがまま(Let It Be ですなぁ)、若さを武器にやりたいこと、やれることは何でもやっちゃっていたのだ。
 そんな悪ガキたちが故郷、リバプールへと戻り、キャバーン・クラブへ出演するようになったある日のこと、人気のうわさを耳にした一人の男が彼らの元へやってくると、数日後、こともあろうにそのやんちゃ坊主たちのマネージャーになった。その男の名はブライアン・エプスタイン。彼が態度の悪いメンバーを前に最初に言ったセリフはこれだった。「有名になりたいのなら、ステージ上でモノを食べたり、タバコを吸ったりするのはやめなさい」。
 タバコである。1番年上のジョンを始め、ビートルズのメンバーはステージに立ってもタバコをふかすなんていうのはもちろん朝めし前、当然の振る舞いだった。デビュー仕立てのころのマッシュルーム・カットに襟なしスーツのかわいらしい姿から想像するのは難しいけどね。
 話を先へと進めよう。彼らが次第に人気を獲得し、スターへの道を一直線に歩み始めた頃、大人びた眼差しの中にまだあどけなさの残るジョンが気に入って吸ったタバコが1つあった。その名は「ひばり」。日本語で書いちゃわからない?そう、「LARK」、これこそが彼が愛してやまない大好きなタバコだった。
 デビューをすると台風の目の如く世界中の女の子たちを飲み込んだ4人。屈託のない笑顔と最高のポップ・サウンドをひっさげてアメリカツアーへ乗り込んだ際にタバコにまつわるこんなことがあった。実行者はジョン。彼はアメリカでももちろんLARKが売っているにも関わらず、わざわざイギリスで売っているスイス製のLARKを自分の元まで送らせたのである。ジョンはこれほどまでタバコに対してこだわりを持ち、嫁をいびる姑のようにうるさかったのだ。メンバー1のヘビー・スモーカー、ここまでやってくれれば白旗、あっぱれである。
 ジョンの歌声はよく通り、ピーンとしたハリがあるが、それに加え、彼のザラザラとした声質が「ジョンにしか歌えない」と多くのファンに思わせてしまう、たまらない魅力としてプラスされている。あの耳に残る声は生まれつきなのか、それともタバコによるものなのか?と、この話をしているうちに考え始めてしまった。もしあの声がタバコのおかげなのだとしたら、ジョンのタバコ好きは大正解、問題なし、間違いなしである。彼はあの声で歌うためにもタバコを吸わなければならなかった、なんて気がする。
 
 ジョンがその後、愛したタバコはフランスの「ジダン」だということを知っている人も多いだろう。だが、私は彼がビートルズをスタートした頃から、20代前半頃まで、反抗的で、皮肉屋で、ロックンロールが生きがいだった頃の彼にこそ、タバコは必要だったんじゃないのかなと何となく思う。若い頃、独特のリズム感でリッケンを仁王立ちで弾きながら、ノドを絞ってロックンロールを歌い上げていたジョンが何よりも好きで、その姿が1番彼らしいと思うからだろうか、毎日の生活の中でLARKの箱を目にするとジョンが満足げに煙を吐き出す姿をぼんやりとではあるが想像できたりするのだ。
 ポストカード見て思った。ジョンは気づかぬ間に大人になってしまったのかもしれないと。品よくタバコを吸う必要なんてどこにもないんだよ、ジョン。私はいくら彼が歳を重ねてもロックンロールを歌うときのように、煙と共に感情を思い切り吐き出すことがあったのだと信じたい。気休めかもしれないが、それだけでジョンが無邪気で寂しがり屋で音楽しか知らなかった頃の「永遠のジョン」のままでいられる気がするのだ。
 まだ若かった彼の側にいつも一緒にいたLARK。それは時に彼にとって蜜よりも甘く、また時にはコーヒーよりも苦い味のする相棒だったのではないだろうか。ジョン、あなたはいろんな想いを抱きつつ、煙を吐き続けていたんだよね、きっと。

文責:いのうえさち

いのうえさち(井上 幸)

フリーライター。ジョン・レノンそして60年代の英ロックを中心に音楽と文学をこよなく愛する。

【主な活動】
シンコーミュージック刊「BRITISH BEAT」 編集協力
フリーペーパー「音楽市場」 サマーソニック2003、エルヴィス・コステロ・ライブでの取材ライブレポート、新譜情報
CDジャーナルWEBサイト「音楽書架」 アーティスト・プロフィール
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